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仮面城(日文版)-第17部分
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由美子はやっと暗い森をつきぬけて、川ぞいの土手の上にさしかかった。そのへんは、星あかりでいくらかあかるんで見えるのだ。由美子の家はつい、目と鼻の先にせまってきた。
と、このときである。とつぜん、道ばたのスギの大木の根もとから、ゆうゆうとおどりだしてきた、まっ白な大入道、由美子はハッとしてそこに立ちすくむ。
暗いのでよくわからないが、白い着物を着た、とても背の高い人間である。
そいつがヒョイヒョイとおどるような腰つきで、由美子の前に立ちふさがると、いきなり大きな手が由美子の肩をつかんだ。
「オ嬢サン、オ嬢サン。アナタ、瀬川サンノオ嬢サン、デショ」
みょうな声だ。鼻にかかった、とてもふめいりょうなことばつきなのである。由美子は恐ろしさのために、全身の血がジ螭纫粫rにこおってしまうような気がした。
見るとその大入道は、ちょうどサ工胜嗓摔瑜訾皮搿ⅴ豫ē恧韦瑜Δ史挨颏筏皮い毪韦扦ⅳ搿O趣摔栅担郏!袱栅怠工税悖荬韦膜い咳切亭违去螗昝堡恕椎丐顺啶ね瑜颏趣长恧嗓长恧饯幛坤筏骏昆芝昆证窝蠓¥蓼堡恕ⅳ长违豫ē怼⒚妞颏证盲皮い搿
表情のない、まっ白なその仮面の気味悪さ!
「オ嬢サン、オ嬢サン、ワタシ、アナタニ話アリマス。コワイコトアリマセン」
由美子は恐ろしさに、ブルブルふるえていたが、きゅうに勇気をふるって、男のからだをつきのけると、
「はなしてください。はなしてください。はなさないと、あたし声をたてますよ」
「コレ、シズカニ。逃ゲヨウトイッテモ、ワタシ逃ガシマセン」
「あれッ! だれかきてえ!」
声におどろいて、奇怪なピエロはいきなり大きな手で由美子の口をふさごうとする。
そうされまいとする。そうしているうちに、ピエロの手がふと由美子のマフラ摔盲俊¥工毪趣胜怂激盲郡ⅴ豫ē恧悉い胜辚蕙榨椹‘のはしをわしづかみにした。そのマフラ扦丹毪挨膜铯扦猡悉幛瑜Δ人激盲郡韦猡筏欷胜ぁ%亥毳亥毪瓤证恧筏ちΔ钎蕙榨椹‘を引くのだ。
由美子はそれをとられまいとして一生けんめいだ。マフラ嫌擅雷婴渭绀颏悉氦欷啤ⅳ栅郡辘韦ⅳい坤税簸韦瑜Δ衰豫螭葟垽昵肖盲俊¥饯Δ筏皮い毪Δ沥恕⒂擅雷婴献悚颏栅撙工伽椁筏郡椁郡蓼椁胜ぁ%蕙榨椹‘のはしをにぎったまま、ズルズルと土手の上から川のほうへ落ちていった。
土手の上にピエロが、マフラ韦猡Δい盲荬Δ韦悉筏虺证盲郡蓼薮笕氲坤韦瑜Δ摔膜昧ⅳ盲皮い搿
「ハナシナサイ。ソノ手ヲハナシナサイ」
「いいえ、いやです。だれかきてください」
由美子がむちゅうになって叫んだときである。むこうのほうからいそぎ足でかけつけてくるひとの足音が聞こえた。それを聞くと、ピエロはチェッと舌うちをすると、いきなりポケットから大きなジャック.ナイフを取りだして、サッとそいつをふりおろした。
「あっ!」
由美子が叫んだときにはすでにおそかった。まっ赤な毛糸のマフラⅳ蓼螭胜楗鹰辚鹰辘趣郡燎肖椁欷郡人激Δ取ⅳ悉筏颏摔盲坑擅雷婴韦椁坤稀ⅳ猡螭嗓辘Δ盲仆潦证檐灺浃筏皮い盲郡韦扦ⅳ搿
ピエロはしばらく腹ばいになり、じっと下のほうをうかがっていたが、ふいにからだを起こすと、例のおどるような步きかたで、ヒョイヒョイと闇のなかに消えていった。と、ほとんど同時にこの場へかけつけてきたひとりの男。
「おかしいな。たしかこのへんでひとの声がしたようだったがな」
と、懐中電燈をとりだしてあたりを照らしていた。見るとまぎれもなくこの男は、さっき電車のなかで由美子をおびやかした、あのこうしじまのコ趣涡∧肖胜韦扦ⅳ搿
男はしばらく懐中電燈で地面の上を眨伽皮い郡ⅳ饯韦Δ痢ⅳ栅趣撙绀Δ胜猡韦蛞姢膜堡俊¥饯欷悉窑趣巫悚ⅳ趣胜韦扦ⅳ搿¥筏纷悚ⅳ趣摔筏皮悉撙绀Δ胜趣长恧ⅳ盲俊¥趣いΔ韦稀ⅳ饯巫悚ⅳ趣趣いΔ韦悉郡酪护摹⒂窑窝イⅳ趣筏胜い韦馈¥饯筏啤ⅳ趣Δ激笞螭窝イⅳ趣我姢à胜堡欷肖胜椁踏趣长恧摔稀ⅴ攻匹氓韦ⅳ龋郏!袱ⅳ取工税悖荬撙郡い市·丹胜ⅳ剩郏!袱ⅳ省工税悖荬坤堡堀偿堀长趣膜い皮い毪韦馈¥膜蓼辍ⅳ饯い膜献螭巫悚恕簸韦瑜Δ柿x足をはめた怪物の足あとなのだ。
これを見ると、くだん[#「くだん」に傍点]の男は、すぐ懐中電燈を消して、
「しまった。おそかったか!」
と叫ぶと、いっさんに闇のなかをかけだした。そのあとから、由美子が恐る恐る顔を出した。からだじゅう泥だらけになって、ところどころかすり[#「かすり」に傍点]傷ができて、そこから血がにじんでいる。それでも彼女はまだむちゅうになって、マフラ吻肖欷悉筏颏摔盲皮い俊
由美子はしばらく闇のなかに目をすえて、じっとあたりをうかがっていたが、やがてソロソロと土手の上にはいあがると、ころげるようにして帰ってきたのはわが家の表口だ。
「にいさん、にいさん」
と、息せき切って玄関の小ごうしをひらいた由美子は、そこでまた、ハッとして立ちすくんでしまったのである。
座敷のなかには兄の健一がさるぐつわをはめられ、たか手こ手にしばられて、倒れていたではないか。
マフラ吻肖欷悉
その翌日の夕がた、きのうとおなじ国電のなかで、今買ったばかりの夕刊をひらいて読んでいた俊助は、ふいにハッとしたように顔色をかえた。
「発明家兄妹、怪漢におそわる」
というような見出しのもとに、昨夜、吉祥寺で起こった怪事件がデカデカとのっているのだ。それによるとくせもの[#「くせもの」に傍点]はさいしょ、瀬川健一をその自宅におそい、これをたか手こ手にしばりあげて家じゅうかきまわしていったのち、こんどは妹の由美子の帰りを待ちうけて、これを襲撃したというのである。
俊助は、それを読むとまっ青になった。
――ああ、どうしてあのとき、じぶんはむりにでも、由美子を家の前まで送ってやらなかったのだろう。じぶんさえついていれば、こんな恐ろしいことは起こりはしなかったのだ。
新聞には、あまりくわしいことは出ていないが、由美子はひどいけが[#「けが」に傍点]でもしたのではなかろうか。
そう考えると、すべての責任がじぶんにあるような気がして心配でたまらない。そこで俊助は、すぐその足で由美子兄妹を見舞ってやることに決心した。
吉祥寺まで電車を仱暝饯筏啤⒆蛞工紊韦胜颏踏堡皮妞取⑿〈à瓮潦证摔丹筏盲俊
と、そのとき、ふとみょうなものが俊助の目にとまった。土手の上一面に咲きみだれた秋草のあいだに、なにやら赤いものがちらついている。
「おや、なんだろう」
俊助はおもわず身をかがめ、その赤いものをすくいあげたが、そのとたんかれはハッとしたように顔色を動かした。それは見おぼえのある由美子のマフラ扦ⅳ盲俊¥筏猡蓼螭胜椤ⅳ猡韦韦撙搐趣衰抓氓磨辘趣郡燎肖椁臁⑼磷悚扦栅撙摔袱盲郡瑜Δ摔い盲绚つ啶膜い皮い毪韦扦ⅳ搿
俊助がその泥をはらい落としているとき、うしろのほうで、草をふむ足音が聞こえたので、ハッとしてふりかえると、ひとりの男が、木立のあいだに立って、じっとこちらをながめている。
俊助はその男のようすを見ると、おもわず身がまえた。
昨夜の男だ。昨夜国電のなかで、由美子をおびやかしたあの男なのである。
男のほうでも、俊助の顔を見るとちょっとおどろいたようであったが、すぐにツカツカと木立のあいだから出てきた。
「きみ、きみ! きみが今ひろったものはなんだね」
わりあいにおだやかな|声《こわ》|音《ね》なのである。
俊助は答えないで、無言のまま、じっと相手の顔を見つめている。四十歳ぐらいの小男で、するどい目つきをしていたが、しかし人相は思ったほど|兇悪《きょうあく》ではなかった。
せいかん[#「せいかん」に傍点]なまゆのあいだにも、どこかゆったりしたところが見えるのだ。
「きみ、ちょっとそいつを見せたまえ」
男はこうしじまのオ些‘のあいだから、右手を出した。
「いやだ」
俊助はマフラ颏Δ筏恧摔筏胜椤⒁徊饯Δ筏恧摔筏辘兢
「いいから、こちらへ出したまえ」
「いやだ。きみはなんの権利があってそんなことをいうのだ。きみはいったい何者だ」
「なんでもいい。出せといったら出さないか」
男はしだいに俊助のほうへつめよってくる。俊助は一步一步しりぞいてゆく。ふたりはグルリと道の上で円をえがいて、こんどは俊助のほうが木立のそばへ追いつめられていった。
そこにはがんじょうな鉄条網が張りつめられてあるので、しりぞこうにも、もうそれ以上しりぞくことができないのだ。
「きみ、きみ、出せといったらおとなしく出したまえ」
「いやだ!」
そう叫ぶと同時に俊助はネコのように身をすくめると、いきなり相手の男におどりかかっていった。ふいをくった相手の男はもろくもあおむけざまに、ズデンと道の上にころがったが、それを見るや俊助は、すばやく馬のりになってつづけさまに二つ三つポカポカとなぐった。
「このやろう、ひどいやつだ。昨夜瀬川兄妹をおそったのはきさまだろう」
「ちがう。はなせ! 苦しい」
小男は苦しそうに目をむいて、
「ちがう、ちがう。きみはなにかを铡猡筏皮い毪螭馈¥长椤ⅳ浃幛螭>欷握撙摔皮啶ぃ郏!袱皮啶ぁ工税悖荬工毪取ⅳ饯韦证螭摔悉筏皮螭荆
「警察の者?」
俊助はそう聞きかえしながら、おもわずちょっとひるんだ。そのすきに男はすばやく、俊助のからだをはねつけてとびあがった。しかし、べつに俊助のほうへとびかかってこようとするのでもない。
「わけもいわずにいきなり声をかけたのは、こちらが悪かった。きみ、そのマフラ虺证盲啤伌à渭窑蓼扦浃盲皮郡蓼ā¥胜摔猡庠挙筏皮浃毪椤
そういうと、このふしぎな男は、俊助のほうには見むきもせずに、先に立って步きだした。
石狩のトラ
「いやわけ[#「わけ」に傍点]もいわずに由美子さんのあとをつけまわしていたのは、わしが悪かった。しかし、これも警視庁の命令だからかんべんしてもらいたい。わしは|木《きの》|下《した》という刑事なんだよ」
瀬川兄妹と俊助を前において、あのふしぎな小男は、はじめて身分をあきらかにした。
「しかし、その刑事さんがなんだって、由美子さんのあとを尾行しているんですか?」
俊助はまだふ[#「ふ」に傍点]におちない。
「ふむ、きみがふしんがるのもむりはない。じつは――」
と、木下刑事はひざ[#「ひざ」に傍点]をのりだすと、
「ちかごろ、北海道の警察から枺─尉晭丐摔郡い筏啤ⅳ窑袱绀Δ酥卮螭蕡蟾妞颏猡郡椁筏皮郡韦馈
というのはほかでもない。むこうで|石《いし》|狩《かり》のトラという名で知られている、ひじょうに兇悪な強盗犯人が、枺─饲比毪筏郡椁筏ば污Eがあるというのだ。じつに恐ろしいやつで、人殺しでも強盗でも、平気でズバズバとやってのけようという悪党なのだ。
警視庁でもすてておけない。ただちに手配して、最近、どうやらそいつではないかと思われるようなやつをひとり発見した。というのは、この石狩のトラというやつは、左足がなくって、木の義足をはめているものだから、それが目じるしなのだ。ところが、そいつが目をつけているらしいのが、ふしぎにも瀬川さん、あなたがたなんですよ」
「まあ!」
由美子は、おもわずくちびるまでまっ青になった。
しかし、そんな恐ろしい男が、どうして、こんなまずしい兄妹をつけねらっているのだろう。ぬすもうにもなに一つ持っていない、このびんぼうな発明家をねらって、いったいどうしようというのだろう。
「さあ、そのてん[#「てん」に傍点]です」
と、木下刑事。
「警視庁でもそのてん[#「てん」に傍点]わけがわからないので、とにかくまちがいのないようにといって、このわしがひそかにきみたちを護衛していたわけなんだ。それがかえってきみたちのうたがいをまねくもとなんだが、きょうになって、やっと石狩のトラの目的というのがわかった。瀬川さん、これはじつによういならぬ事件ですぞ」
「よういならぬ事件というと?」
健一は病弱らしい目をしばたたきながら、不安そうにたずねると、
「じつはきのう、北海道の警察からあらためて報告がとどいたので、はじめてわかったのだが、石狩のトラがねらっているのは、ビ圣工涡扦椁筏い韦馈
「ビ圣工涡扦趣いΔ韦希俊
「わしにもよくわからないが、なんでもヨ恁氓绚未蠊位适窑恕⒈ξ铯趣筏皮膜郡铯盲皮い俊r価、数儯鼉窑猡筏瑜Δ趣いΑⅳ工肖椁筏ぅ昆ぅ浈猊螗嗓坤饯Δ馈¥趣长恧ⅳ饯违昆ぅ浃匣实郅撙氦樯鶚S家の鮎川里子に贈られた。そしてさらに鮎川里子から、おいにあたる瀬川健一に、遺産としてゆずられたようすがあるというのですよ。
つまり瀬川さん、石狩のトラがねらっているのは、あなたのお持ちになっている、何儯鼉窑猡工毪趣いΕ昆ぅ浈猊螗伞ⅴ萤‘ナスの星らしいですよ」
かがやく星
健一と由美子のふたりはぼうぜんとして、おもわず顔を見合わせた。
「しかし、しかし刑事さん。ぼくはそんな高価なダイヤをゆずられたおぼえはありませんよ。それはきっとなにかのまちがいでしょう」
「さあ、そこだ」
と、刑事はひざをのりだして、
「鮎川里子さんも、きっと悪党がこのダイヤをねらっていることを知っていられたので、とちゅううばいとられるきけんがあると思って、なにかにかくして、あなたがたのところへ送ってこられた。ところが、その秘密をうちあけずに死んでしまわれたので、ダイヤはまだだれにも知られずに、かくし場所にあるにちがいないと思うのです。そこで瀬川さん、あなたはなにか鮎川さんから、生前贈られたものがありませんか」
「そういえば、おばは死ぬ少しまえに、由美子のところへ、きれいなフランス人形を送ってよこしましたが」
「それだ! その人形のなかにあるのだ!」
「あっ!」
それを聞くと、ふいに健一が頭をかかえて、どうとその場にからだを投げだした。
「ぬすまれた! 知らなかった! 昨夜のくせもの[#「くせもの」に傍点]はわたしをしばりあげておいて、あのフランス人形を床柱にぶっつけ、こっぱみじんにしておいて、なにかさがしていました。ああ、あのとき、きっとダイヤを見つけて持っていったにちがいありません」
ああ、なんという失望! なんというらくたん[#「らくたん」に傍点]! 知らぬこととはいいながら、数儯鼉窑猡工毳昆ぅ浃蛩证筏胜椤ⅳ撙工撙工饯い膜驉櫟长韦郡幛摔Δ肖とイ椁欷郡饯韦浃筏怠¥饯欷坤堡谓黏丹àⅳ欷小⒔∫护窝芯郡狻ⅳ胜瞬蛔杂嗓胜膜扭堡毪长趣扦郡韦恕
「にいさん、にいさん、しっかりしてください」
「ああ、おれはもうだめだ。おばのせっかくの心づくしを無にしてしまった。おれはなんというばかだったろう。おれの研究も、もうおしまいだ!」
さすがの木下刑事も、暗然としてことばが出なかった。
この若き発明家の失望、苦もんのさまから、おもわず目をそらすばかりであった。
そのときまで無言の
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